あなたは自分の資産について大地震への備えはしていますか?
地震への備えというと、非常食や水の備蓄、定期的に避難訓練、地震発生時の集合場所を決めておく、地震保険に入っておく等の対策をされているかと思います。
ご自身の投資ポートフォリオは大地震に対する準備をしていますか?
今回は大地震に備える投資ポートフォリオとは何かについて紹介します。
大地震が発生した場合の投資ポートフォリオへの影響は何か
大地震が発生した場合、
- 人的被害(怪我等)
- インフラ、建物、工場などへの物理的なダメージ
- 企業の操業停止(交通インフラ寸断、工場は損等により工場操業停止、事務所営業停止等)
等のダメージが予想されます。
一方で復興投資への期待から建設株、建設素材等の株は上がるでしょうし、莫大な保険金支払いが発生するため損保や生保の株は暴落する可能性があります。
特に損保は莫大な保険料の支払いが発生する可能性があります。
為替についていうと、損保や生保が日本円での保険金支払いをしなければならず大量の日本円が必要となるため、米国債や米国株など海外資産を売って円を買うオペレーションが発生すると言われています。
これにより(一時的かもしれませんが)急激な円高が進行する可能性もあります。
一般企業の業績にも大きな悪影響があるでしょうから、株式市場は暴落する可能性があります。
日本のメーカーがグローバルのサプライチェーンに組み込まれている場合、日本メーカーが部品を製造できなくなる結果として、海外メーカーの操業停止という事態も発生します。
これにより影響を受ける海外企業の株も売られるでしょう。
これらをまとめると、大地震が発生すると、
- 株式市場は暴落する可能性がある
- 保険会社、特に損保は莫大な保険金請求を受け業績に大ダメージを受ける可能性がある
- 急激な円高になる可能性がある
- 建設株は思惑で上がる可能性がある
といった事態が予想されます。
大地震が確実にいつ起こるのかわかれば万全の対応ができるのですが、残念ながら誰時もわかりません。
このためいつ何時どんな事態にも備えるような投資ポートフォリオを作る必要があります。
大地震に備える投資ポートフォリオの考え方
日本の大地震の影響を最小限に抑えるためには、資産の大半を海外資産に投資すればよいのです。
もちろん、日本企業であっても、海外で生産して海外で販売し、売り上げ全体に占める日本市場の割合が小さければ、事業への大ダメージを避けることはできます。
とはいえ、日本企業である限りは本社は東京にある場合が多く、大地震により本社機能が損なわれグローバルなオペレーションが寸断してしまうリスクがあります。
このため、基本的な考え方としては「大地震に備えるためには、日本ではなく海外資産に投資すればよい」という単純な発想で良いでしょう。
投資の100%を海外株・リートにすることも考えるところですが、大地震で急激な円高が進行する可能性を考えると、円高に対応するため資産の一部は日本円で持っておく必要もあります。
正解はないのですが、現時点で私が考える「大地震に備える投資ポートフォリオ」の考え方は、
- 75%:海外株・リート
- 25%:日本円キャッシュ、日本株
です。
円グラフにすると以下のような感じです。
資産の75%を海外株・リートにすることで、大地震による自分の金融資産への直接的な影響を避けます。
そして、日本円キャッシュ・株を25%持つことで、日々の安定的な日本円配当金の受取りをしつつ急激な円高に備える、といった構えです。
日本株では、
- 円高に耐性があるか、
- 大地震で株が上がるか、あるいは
- 大地震で物理的な大ダメージを受けないか、
といった点に注意して銘柄選定をする必要があります。
但し、円高に耐性があるというのは、一般的には海外からモノやサービスを輸入して国内で販売する内需企業なので、大地震で内需が落ち込み業績に影響が出るリスクは大いにあります。
やはり、ここで選ぶべきは建設株ではないでしょうか。
今後国内の老朽化したインフラの保守・更新需要で好業績が続くことが予想されるので、たとえ大地震が来なかったとしても建設株、特にインフラの保守・更新需要をつかめる会社は、中長期的に保有してよいものだと思っています。
大地震に備えるおすすめ投資ポートフォリオ
最後に、具体的な投資ポートフォリオの例を紹介しましょう。
海外株・リートについては
- 米国のSaaS銘柄(できるだけ、日本市場の割合が小さい企業を選ぶ)
- シンガポールリート
- 中国IT大手:アリババ、バイドゥ
あたりで資産の75%を構築すれば、日本で大地震が起こったとしても影響を軽微に抑えることができるでしょう。
日本の大地震がこれらの業績に致命的な影響を与えるとは思えません。
Jリートは、できるだけ耐震性能が高そうな建物を持っているリート、あるいは資産が都心部に集中していないようなリートを選んだらいいと思います。
福岡リートなんかは物件のほとんどが九州なので、東京での大地震の影響は殆どないでしょう。
日本株については建設株を中心に選ぶといいと思います。
大地震後の復興需要の思惑で、大地震直後に株価が騰がる可能性があるためです。
大地震に備える建設株の例としては、
- 鹿島、大成建設、大林組等のスーパーゼネコン
- 海外比重が多いため日本の直接的な影響を避けられる五洋建設
- 中長期的な日本のインフラ保守・更新需要も取り組めるショーボンドホールディングス
- 都心直下地震があったときの影響を避けるため関西地盤のゼネコンとして奥村組
- 土木が強いということで安藤ハザマ
- 九州地盤の九電工
あたりが考えられます。
まとめ
大地震に備える投資ポートフォリオとは何かについて考えてみました。
非常食や水を準備するのと同様に、投資ポートフォリオも大地震への備えをしておきましょう。
どんな状況があっても家族・自分自身の物理的な身を守るとともに、自分の金融資産も守りましょう。
本記事で提唱する投資ポートフォリオの基本的な考え方は、
- 全資産の最低75%は海外株・リートで保有
- 残りの25%は日本株・リートでもよいが、建設株はある程度保有しておく
というものです。
海外比率は高ければ高いほど大地震のリスクを抑えることができますが、普段の配当収益や大地震時の円高リスクも考慮して自分なりの地域的な半分を決めてください。
「どんな状況下でも生き残る」、これを念頭におきながら日々強靭なポートフォリオを作っていきましょう。