あなたは危機に強いリートは何だと思いますか?
安定的な配当が期待できるリートは比較的株式市場の下落に強いですが、その中でも特に危機に強いリートがあります。
感染症の世界的感染拡大のような想定外の危機的状況でも、高い稼働率を維持できるのが強いリートです。
今回は危機的状況に対して非常に強いリートは何かについて説明します。
危機に強いリートは物流、データセンター、ヘルスケアリート
結論から先にいうと、危機に強いリートは
- 物流施設
- データセンター
- ヘルスケア施設
に投資するリートです。
コロナウイルスで各国がロックダウンをしている中で一部物流が止まった国もありましたが、各国とも最優先で物流を再開させる努力をしていました。
また、老人ホームなどの高齢者介護施設は危機だろうとなんだろうとフル稼働する必要がありますし、病院は危機のときこそフル稼働します。
データセンターはもはや社会インフラの一部です。
高度情報化社会においてデータセンターの稼働が止まると社会システムが止まる可能性もありますので、危機の時でもフル稼働していましたね。
つまり、物流施設、データセンター、ヘルスケア施設は、各国共通で優先度の高い施設と位置づけられているため、危機の時でも稼働は落ちないため、危機に強いと言えるのです。
さらに、これらは中長期的に需要が増える分野でもあります。
ネット販売が浸透していくと物流が取り扱う物量が増えるわけですから、それをさばくための高性能物流施設への需要は高まっていきます。
今後おそらく先進国・新興国を問わずどの国でもどんどんネット販売の比率は高まっていくでしょう。
データセンターについては、各国の政府、企業、個人がこれからますますクラウドサービスを利用するようになり、クラウドにデータを保管するようになります。
クラウドに保管するデータもどんどん蓄積されていき、巨大なデータ量になり、データセンターの利用度は高まっていく方向でしかありません。
もちろん、超巨大企業の中には独自で土地を確保してデータセンターを作るところもあるでしょうが、それだけでデータセンターが足りるわけではないので、データセンターリートが管理しているデータセンターの利用も高まります。
ヘルスケアについては、各国とも高齢化していく傾向にあり、介護施設や医療施設への需要は基本的に高まっていく傾向にあります。
中長期的に高齢者が増えていくわけですから、ヘルスケアリートが管理する施設への需要も高まっていきます。
よって、物流施設、データセンター、ヘルスケア施設に投資するリートは
- 危機に強く、
- 中長期的にも成長が期待できる
といえます。
代表的な物流、データセンター、ヘルスケアリートはどういった銘柄か
では、代表的な物流、データセンター、ヘルスケアリートはどういった銘柄がよいのでしょうか?
例えば、以下のような銘柄が挙げられます。
- Mapletree Logistics Trust 利回り3.94%(シンガポール)
- Parkway Life Reit 利回り3.35%(シンガポール)
- Keppel DC Reit 利回り2.75%(シンガポール)
- 日本プロロジスリート投資法人 利回り3.03%(日本)
- GLP投資法人 利回り 3.64%(日本)
- 日本ロジスティクスファンド 利回り5.00%(日本)
- Digital Reality Trust 利回り3.22%(米)
- CoreSite Reality Trust 利周り 3.92%(米)
なお、米国上場の銘柄の場合、米国側で配当に源泉徴収され日本でも課税される二重課税状態になる可能性があるのでご注意ください。
危機に弱いリートは商業施設、ホテルリート
逆に危機に弱いリートは商業施設とホテルに投資するリートです。
2020年の感染症の拡大を見て、これははっきりしたと思います。
危機の時に真っ先に人々が止めるのはショッピングや旅行です。
「それどころじゃない」危機状態においては、人々は生き残ることを最優先に考えますが、その時にショッピングセンターでのショッピングを楽しむだとか、旅行を楽しむといったことは二の次になります。
このため、危機においては、商業施設とホテルの稼働はまっさきに下がっていきます。
ホテルリートはホテルの業績と連動した収益構造となっている場合が多いため、ホテルの稼働が落ちるとすぐにリートの収益に影響していきます。
オフィスリートは中長期的には弱くなる傾向にある
オフィスリートについては従来企業の都心部への回帰傾向があり安定していたのですが、今後は在宅勤務、リモートワークの活用が大幅に進むと想定されるため、中長期的には弱い傾向にあります。
2020年の感染症拡大を受けて、都心部の大企業を中心に多くの企業が在宅勤務、リモートワークを取り入れました。
私自身も完全な在宅勤務に移行したのですが驚くほど何の問題もなく業務ができましたし、私の周りの人も何の問題もなく業務ができています。
すべての人が在宅勤務に移行できるわけではないですが、少なくとも企業の中の一定数の人は完全に在宅勤務に移行しても何の問題もないはずです。
オフィスの需要はなくなりはしませんが、今後在宅勤務やリモートワークが進む中でオフィスリートの稼働率が高い水準を維持できるかどうかは不透明なところもあります。
まとめ
2020年のパンデミックを契機に、危機に強いリートは何か?について考えてみました。
この前代未聞の危機の中でも
- 物流リート
- データセンターリート
- ヘルスケアリート
の株価は非常に安定したものでした。
そのような銘柄も一度はアンワインドで売られたもののすぐに戻りましたので、投資家の信頼も厚いんだと思います。
配当の安定性を求めるなら商業施設、ホテル、オフィスに投資するリートではなく、より危機に強い安定した配当を維持できる可能性のあるリートを資産の中核にするほうがおすすめですよ。
安定しているために相対的に利回りが低いという欠点はありますが、それでも大きく株価が値下がりして含み損を抱えるよりはマシでしょう。
あなたの資産の中核にもより危機に強い物流、データセンター、ヘルスケア施設を保有するリートを選んで投資するのがいいのではないでしょうか。