シンガポールリートに投資する手段として、楽天証券で取り扱いのあるライオン・フィリップ・S-REIT ETFに投資する方法がありますが、これについてどう思いますか?
私はシンガポールリート個別銘柄に2011年から投資し続けてきており、安定的な高配当を得る手段としてとてもおすすめできると考えています。
ただ、シンガポールリートはシンガポールの現地口座がないと日本からでは買いづらいです。
そこで、シンガポールリートに投資する手段としてシンガポール上場のETFであるライオン・フィリップ・S-REIT ETFが候補に挙がります。
今回は果たしてライオン・フィリップ・S-REIT ETFは投資初心者におすすめなのか?について説明します。
日本から投資する初心者にはライオン・フィリップ・S-REIT ETFより上場インデックスファンドアジアリートのほうがおすすめ
最初に結論を述べると、日本から投資する投資初心者であればライオン・フィリップ・S-REIT ETFより上場インデックスファンドアジアリートのほうがおすすめです。
その理由は以下の通り。
- 仮に100万円を投資するとすると上場インデックスファンドアジアリートは売買手数料が487円(税抜)だが、ライオン・フィリップ・S-REIT ETFはSBI証券でも楽天証券でも1万円(税抜)かかり取引手数料が高すぎる。
- シンガポールリートだけに投資したい場合は、ライオン・フィリップ・S-REIT ETF一択だが、上場インデックスファンドアジアリートでもシンガポールリートに7割近くふっており実質的には大差ない
ただ、以下のケースでは上場インデックスファンドアジアリートよりライオン・フィリップ・S-REIT ETFを選んでもいいでしょう。
- シンガポール株の売買手数料往復2%を考慮しても上場インデックスファンドアジアリートと取引+運用コストがトントンになる10年以上保有する場合
- 香港リートへは投資済みでこれ以上香港への比重を増やしたくないため、シンガポールリートだけに投資したい場合
ただ、初心者の場合、10年以上保有するかどうかはわかりませんし、香港リートにも投資済みとは考えにくいため、とっつきやすい上場インデックスファンドアジアリートから始めるのが当ブログのおすすめです。
上場インデックスファンドアジアリートとライオン・フィリップ・S-REIT ETFの違いは何か
結論は上記で述べたのですが、もう少し両者の違いを見ていきましょう。
運用コストの違い
毎年かかる運用コストで比較すると、上場インデックスファンドアジアリートの信託報酬が年0.7%(税抜)に対しライオン・フィリップ・S-REIT ETFは年0.5%(税抜)ですから、上場インデックスファンドアジアリートのほうが年0.2%高コストです。
ただ、ライオン・フィリップ・S-REIT ETFは取引手数料が往復で2%かかりますので、信託報酬の違い年0.2%を考慮すると両者を10年以上保有した場合にライオン・フィリップ・S-REIT ETFのほうがコストが有利になります。
保有期間10年以下では上場インデックスファンドアジアリートのほうがトータルコストは安いです。
保有銘柄の違い
上場インデックスファンドアジアリートがシンガポール、香港、中国に投資するのに対し、ライオン・フィリップ・S-REIT ETFはシンガポールだけに投資するのですから、保有銘柄は違います。
上位10銘柄をリストアップすると以下のようになります。
上場インデックスファンドアジアリート
- Ascendas Reit
- Link Reit
- Capitaland Mall Trust
- Capitaland Commercial Trust
- Mapletree Logistics Trust
- Mapletree Commercial Trust
- Mapletree Industrial Trust
- Keppel DC Reit
- Suntec Reit
- Keppel Reit
オフィス、商業施設、ロジ、産業リートの組み合わせです。
保有銘柄上位では唯一リンクリートだけが香港リートなので、大半はシンガポールリートになります。
ライオン・フィリップ・S-REIT ETF
- CapitaLand Commercial Trust
- Mapletree Logistics Trust
- Mapletree Commercial Trust
- CapitaLand Mall Trust
- Ascendas Reit
- Keppel Reit
- Mapletree Industrial Trust
- Manulife US Reit
- Suntec Reit
- Parkway Life Reit
上場インデックスファンドアジアリートとの違いは、
- 香港リンクリートとKeppel DC Reitが入っていない
- Manulife US ReitとParkway Life Reit
が入っている点です。
実際問題おそらく運用パフォーマンスに大きな差が出るものではないと思います。
ただ、個人的にシンガポールリート最強銘柄の一角であるKeppel DC Reitが保有銘柄上位に入っている上場インデックスファンドアジアリートのほうが私の好みです。
取引通貨
取引通貨としては、上場インデックスファンドアジアリートが円、ライオン・フィリップ・S-REIT ETFがシンガポールドルか円のどちらかで売買が可能です。
シンガポールドルで取引できるライオン・フィリップ・S-REIT ETFのほうが魅力的に感じるかもしれませんが、シンガポールの現地口座を持って自由にシンガポールドルでいろいろな銘柄を売買できるような環境を持っている場合を除いて、日本在住の人は円で取引したほうが圧倒的に楽だと思いますよ。
日本でシンガポールドルを持っていても他に使い道がないですから。
まとめ
ライオン・フィリップ・S-REIT ETFは投資初心者におすすめなのか?について説明しました。
当ブログの結論は、初心者であればライオン・フィリップ・S-REIT ETFより上場インデックスファンドアジアリートのほうがおすすめです。
その理由は、上場インデックスファンドアジアリートは
- 日本株と同等の扱いのため、証券会社での取引手数料が圧倒的に安い
- ライオン・フィリップ・S-REIT ETFと上位の保有銘柄が対して変わらない
- シンガポールリート最強銘柄の一角であるKeppel DC Reitが上位に含まれる
- 円貨取引のため投資初心者には資産管理がしやすい
というものです。
投資初心者が上場インデックスファンドアジアリートではなく。ライオン・フィリップ・S-REIT ETFを積極的に選ぶ特段の理由が見当たらないと考えています。
日本からでもETFを通じてであればシンガポールリートに投資する方法はあります。
現在上場インデックスファンドアジアリートの配当利回りは4.24%と非常に高い利回りとなっていて、長期的な市況の回復を見越せば非常に魅力的です。
あなたも上場インデックスファンドアジアリートとライオン・フィリップ・S-REIT ETFの良し悪しを理解した上で、投資を検討してみましょう。