あなたのJリート銘柄の選び方は何でしょうか?
新規にJリートに投資したり銘柄を入れ替えるときに、選択肢が多すぎて迷いませんか?
私はJリートへの投資は基本的にはBuy & Holdで継続的な配当受け取りを目指すものだと思っています。
ただ、株価が上がりすぎたりて利回りが低下したり、物件運用状況が悪化し利回りが低下したりした場合は、運用効率をあげるために時折銘柄の入れ替えも必要です。
では、どうやってJリートの銘柄を選べばよいのでしょうか?
あなたの合理的なJリート銘柄選択のために、今回はJリートおすすめ銘柄と選定基準について紹介します。
- 対象:これからJリート投資に取り組もうと思っているが、銘柄選定で悩んでいる投資家
- 得られること:平均利回りを超えるJリートおすすめ10銘柄銘柄と私の考える選定基準が理解できます。
Jリート銘柄選定の基準
Jリート銘柄選定基準の概要
私の考えるJリート銘柄選定の基準は以下の6つを満たすものです。
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- 決算期を分けて銘柄を選ぶ
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- 時価総額は1,000憶円以上であること
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- 分配金利回りはJリート利回りの平均は越えること
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- 商業施設特化型リートはできるだけ避けること
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- NAV倍率が低いこと
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- 保有不動産が広範囲に分散していること
以下でもう少し詳しく説明します。
決算期を分けてJリート銘柄を選ぶ
多くの投資家にとってJリート投資の目的は値上がり益というよりは分配金目的だと思います。
生活費等毎月の支払いに使うことを考えると分配金はできるだけ毎月受け取れたほうがいいです。
すなわち、ポートフォリオの中で決算期が同じ月の銘柄に集中しないことが重要です。
Jリートは幸いなことに決算月が銘柄によって異なり、これにより分配金の支払い月も異なります。
例えば、以下のように配当金の支払い月がそれぞれ異なります。
1月 | 星野リゾート |
---|---|
2月 | 阪急阪神リート |
3月 | ジャパン・ホテル・リート |
4月 | 日本ロジスティクスファンド |
5月 | 積水ハウス・リート |
違った決算月の銘柄を組み合わせることで、毎月分配金を受け取れるようなポートフォリオを組みことが可能です。
できるだけ決算月が分かれるようにJリートの銘柄選定をしましょう。
時価総額1,000憶円以上
Jリートの時価総額については特に基準はないのですが、通常は1,000億円以上を選ぶようにしましょう。
以前行ったセミナーでリートの運営者の方から聞いた話ですが、時価総額が小さいと機関投資家の内部基準によって機関投資家の投資対象から機械的に外れてしまうようです。
ある程度の資産規模がないと、機関投資家にとっては流動性が問題となり機動的に売買ができない恐れがあったり、あるいは機関投資家の少しの買いや売りで株価が大きく変動してしまったり、そんなリスクがあるため避けているのだと思います。
こうなると個人投資家だけが時価総額の小さい流動性にリスクがある銘柄に投資するような状況になります。
一般的に投資口を買う人が多ければ多いほど、様々な人が様々な思惑で売買をする中で株価は安定する可能性が高いです。
また運用の観点でも、後で述べますが、物件が広く分散されていることが望ましいです。
時価総額が小さいということ保有物件の資産額も小さいということで、物件の分散度合いが高くない可能性があります。
きちんと広範囲に分散して物件を保有するという観点でも、時価総額が一定規模以上であることは重要です。
今のJリートの銘柄を見ていると、最低でも時価総額で1,000憶円以上ある銘柄でないと安定的な投資はできない、と思っています。
時価総額にも注目して、Jリートの銘柄選定をしましょう。
分配金利回りは4%は越えること
最近は日本の通常の株式でも配当利回り4%-5%の銘柄も多くなってきました。
例えば、JTは6%を越え、三菱商事も4.3%前後の配当利回りです。
Jリートはそもそも高利回りが売りの商品ですので、配当利回りが低いものは配当金狙いには向きません。
少なくとも配当利回りはが4%を越えるものを選びましょう
商業施設特化型リートはできるだけ避けること
米国のリテールビジネスをみていると米アマゾンとの競合でおもちゃやさんのトイザらスが倒産する等、商業施設への需要が今後とも続くかどうか疑問です。
eCommerceがもっと主流になればお店に行ってモノを買うことが減り、お店自体もショッピングモールに出店しないような事態も考えられます。
(アメリカの商業施設の状況については「閉店が続くアメリカ小売業「最期の日々」の記事を参照)
自分が商業施設特化型リートに投資しているときに、自分のJリートが保有している商業で閉店が相次ぎ配当金が減らされていったら嫌ですよね。
アメリカで商業施設について今起こっていることが、日本でも将来起こりうる可能性は十分にあります。
直近ちょっと調べてみただけでも日本での大きな商業施設の撤退(予定も含む)としては以下があり、商業施設運営は一般的には厳しい時代だという印象を受けます。
- イトーヨーカドー 古河店
- 伊勢丹 府中店
- イオンモール 川口
- 新潟アルタ
- イオン 上峰店
- イオン 福重店
建物の老朽化による建て直しのための閉店であればポジティブな閉店で将来的な再開発により収益の回復が見込めるのでいいのですが、多くは収益が上がらないための閉店です。
外部環境を考えると、日本では中長期的には人口は徐々に減っていくのが確実です。
特に地方や郊外の人口は減る一方でしょう。
多くの商業施設は地方や郊外にありますが、そういった特に人口の減少が確実な地域において、商業施設への需要が今後継続的に伸びていくとは考えにくいです。
このため、中長期的にJリートを保有する場合、中長期的に運用パフォーマンスが悪化するかもしれない商業施設特化型リートは選択肢に入れにくいと考えています。
これがJリート選定基準において商業施設特化型リート外すべき理由です。
NAV倍率が低いこと
NAV倍率というのは投資口当たりのリートが保有している不動産の価値と株価の間の関係性を示したもので株式投資でいうPBRのような指標です。
専門用語は専門家の定義を参照したほうが良いのでJapan-Reit.comの定義を引用しましょう。
NAV倍率とは、
株価の割安度を示す指標。株価÷1口あたりNAVで算出される。FFO倍率がキャッシュフローに注目した投資指標であるのに対しNAV倍率は不動産の時価に注目した指標と言える。
と書かれています。
NAVはNet Asset Value(純資産)の略語で、株価に対して純資産がどれくらいあるのかを示す指標です。
PBR同様にNAVも低いほうが割安である可能性が高いです。
例えば、株価の時価総額が1,000憶円に対し純資産が1,000憶円あれば、NAV倍率は1倍です。
NAV倍率が高いということはそれだけその銘柄に需要があるともいえるので、NAV倍率が高いことは一概に悪いことではないのですが、銘柄を選ぶという観点では低いほうが良いと私は考えています。
ただ、低すぎるのも何かウラがある気がするので、ちょうどよいバランスを見るのが重要です。
私の経験上NAV倍率 0.6以上~1.4以下くらいのレンジでJリートの銘柄を探すのがよいです。
保有不動産が分散していること
最後は保有不動産の分散度合いです。
リートの中には森トラストホテルリートのように5つの不動産しか保有していないリートもあります。
保有物件が少ないと一つの物件で何かがあった(大きなテナントの退去等)があったときに収益力が一気に落ちる危険性があります。
多くのリートは広範囲な物件に投資しているのであまり気にする必要はないですが、あまりにも保有物件が少ないものは避けましょう。
また、物件へのリスクという点では自然災害のリスクも考慮する必要があります。
日本は頻繁に台風や地震などの自然災害がある国です。
Jリート保有の建物は比較的メンテナンスもきちんとしていているので台風やちょっとした地震で大ダメージを受けるととは思えません。
実際に過去に台風や地震があった場合でも、少なくとも私の保有銘柄の中では大ダメージを食らった例はありません。
但し、阪神大震災や東日本大震災クラスの大地震がくれば、さすがにJリート保有の建物でも大ダメージを受けるでしょう。
大地震は誰にも予測しえないものですが、配当金投資家としてはそのような予測しえない事態もリスクヘッジことが必要です。
物件を広範囲に分散し、できれば地理的にも分散して保有しているJリートを優先的に選びましょう。
なお、都心特化型等ある特定の地域に集中したJリートが魅力的過ぎて選ばざるをえないのであれば、それとは別の地域に特化したJリートも選び、Jリート自体のの銘柄分散によって地理的な分散を実現するのも考え方の一つです。
2021年 Jリートおすすめ銘柄
上述のJリート銘柄選定基準を考慮し、2021年に向けてのJリートおすすめの銘柄を10つ選んでみました。
なお、分配金利回り情報はJ-REIT情報一覧からで、かつ情報は2020年4月のものです。
Jリートの株価はそれほど大きく変動せず、また分配金も大きく変動することは少ないので、分配金利回りもだいたいいつもこのくらいと想定してよいでしょう。
fa-arrow-circle-right日本ビルファンド投資法人:オフィス
- 決算月:6月、12月
- 分配金利回り:3.27%
- 時価総額:11,336億円
- NAV倍率:1.22倍
- 選定理由:三井不動産がバックの日本最古かつ最大のオフィスリートで安定している。
fa-arrow-circle-right大和ハウスリート:総合リート
- 決算期:2月、8月
- 分配金利回り:4.05%
- 時価総額:6,500億円
- NAV倍率:1.08倍
- 選定理由:スポンサーが大和ハウスで強力な巨大リート。明確に規模の拡大を目指しているのが良い。
fa-arrow-circle-right積水ハウスリート:総合リート
- 決算月:4月、10月
- 分配金利回り:3.57%
- 時価総額:3,928億円
- NAV倍率:1.1倍
- 選定理由:積水ハウス系のの総合リート。住居比率も高いため比較的安定している。
fa-arrow-circle-rightアクティビア・プロパティーズ:大都市商業施設及び東京オフィス
- 決算月:5月、11月
- 分配金利回り:3.77%
- 時価総額:3,798億円
- NAV倍率:1.09倍
- 選定理由:商業施設が入っているが大都市中心部の施設なのでそれほど退店リスクはない。大都市都心部の物件なので、退店があったとしてもすぐに埋まる。
fa-arrow-circle-right日本ロジスティクスファンド投資法人:物流
- 決算月:6月、12月
- 分配金利回り:3.05%
- 時価総額:2,860億円
- NAV倍率:1.19倍
- 選定理由:老舗の物流リートで非常に安定感がある。
fa-arrow-circle-right日本アコモデーションファンド:住居
- 決算期:2月、8月
- 分配金利回り:3.07%
- 時価総額:3,252億円
- NAV倍率:1.31倍
- 選定理由:三井不動産がバックの住居リートなので安定している。
fa-arrow-circle-right大和証券リビング投資法人:住宅リート
- 決算期:3月、9月
- 分配金利回り:3.95%
- 時価総額:2,331億円
- NAV倍率:1.13倍
- 選定理由:住宅リートなので分配金が安定。
fa-arrow-circle-rightNTT都市開発:オフィス+住宅。オフィスはNTTグループがメインの賃貸人
- 決算期:4月、10月
- 分配金利回り:4.37%
- 時価総額:2,146億円
- NAV倍率:1.23倍
- 選定理由:景気に余り左右されないNTTグループがバックにあるので安定性が高く、利回りも高い。
fa-arrow-circle-rightケネディクス・レジデンシャル・ネクスト:住居+ヘルスケア
- 決算期:1月、7月
- 分配金利回り:3.86%
- 時価総額:2,116億円
- NAV倍率:1.16倍
- 選定理由:住居+ヘルスケアなので安定していて高い利回り。
fa-arrow-circle-rightアドバンス・レジデンス:住居
- 決算期:1月、7月
- 分配金利回り:3.18%
- 時価総額:4,875億円
- NAV倍率:1.28倍
- 選定理由:住居系最大リートで安定している。
まとめ
本記事では、2021年のJリートおすすめ銘柄と選定基準を紹介しました。
今回のJリート銘柄の組み合わせは、
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- 一年のうち12ヵ月で分配金が受け取れる
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- 全体的に時価総額が大きく、銘柄は物流系リートがメイン。商業施設特化型リートは入っていない
という特徴があります。
これは一例ですが、こういうのも参考にしながら、あなた自身のJリートポートフォリオを作ってみましょう。
安定した配当金収入を得られると、日々余裕ができてきっと人生が変わりますよ。
なお、Jリート投資におすすめな証券会社は私も使っているSBI証券です。